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茨城県剣道連盟医学委員会 健康・安全のためのアンケート調査について

2020年10月20日
茨城県剣道連盟医学委員会 委員長 林明人

剣道における健康・安全に関わるアンケート調査について、茨城県剣道連盟に医学委員会を立ち上げました本年4月に小倉培夫会長、諏訪専務理事のご賛同を得て企画、6月早乙女事務局長のご協力を得て各組織・団体にご協力をいただきまして実施することができました。関係の方々に対しましてまず御礼申し上げます。

まず、医学委員会についてご紹介します。本年4月1日に茨城県剣道連盟に医学委員会が発足しました。医学委員会の発足の目的は『剣道における健康・安全を確保する』ことにあります。健康・安全を確保することは生涯剣道の推進や剣道人口増加の推進にもつながります。

医学委員会の組織としましては、林明人委員長(医師)、倉持利夫副委員長、石原明委員(医師)、川嶋久恵委員(医師)、新澤岳委員(医師)、北沢真理子委員(看護師)、藤田聡委員(医師)、草山美和子委員(書記)の8名に、アドバイザーとして水田重則範士と香田郡秀範士に加わっていただきました。これまでの主な活動はズーム会議による話し合いで決定、実行しましたが、短期間ではありますがこれまでにいろいろな事案に取り組んで参りました。4月初めに新型コロナウイルスの感染防止に関する対策に関するガイドラインを発信したことに続き、応援メッセージや動画を企画して茨城県剣道連盟のホームページ上で配信しました。また、各地区でのガイドラインや剣道再開計画の作成などに助言を行い、茨城県剣連による剣道再開のための講習会も実施しました。審査が再開されてからは、審査会場でのアドバイスや救護なども担当してきています。

医学委員会の重要な活動の1つとして、『剣道における健康・安全に関わるアンケート調査』を行いましたので、ご報告いたします。

アンケート概要

アンケートは茨城県剣道連盟から各職域の会長34名、名誉会長18名、地域/職域事務36か所、副会長16名などに郵送、茨城県剣道連盟HPに掲載。

回答数は328名、うち県外から32名。回答方法は、郵送でまとめて20件、メール74件、そのほかFAXによる回答もあった。

1.あなたの 剣道歴や背景 について

茨城県在住:296名 県外:32名
男性:253名 女性:73名 回答無し:2名 平均年齢は48.3歳(標準偏差:19.1歳)で50~60代で約半分を占めていた(図1)。段位は6段、7段の高段者が約6割を占め(図2)、剣道歴の平均は29.0年で40年以上が5割であった。(表3)328名中の約1/3の112名は剣道を再開組であり、そのブランクは5年~20年が多かった。剣道を中断した年齢は、15-19歳、20-24歳が多く、中学・高校・大学卒業でやめたものと推察された。また剣道を再開したきっかけは、子どもが剣道を始めたことが約3分の1と多く、再開した年齢が30~40代が多いことと一致している。(図4,5、6)

2.喫煙について

喫煙率は21%(男性21%、女性0%)であった。喫煙歴があるものは56%であり、禁煙したものが多かった。年齢別にみると、喫煙率は、20代8%、30代5%、40代23%、50代16%、60代37%、70代11%であった。

3.新型コロナウイルス感染症防止対策により、対人稽古が制限された4月から6月にかけての「ひとり稽古」について

コロナ禍前の稽古回数は約6割が週3回以上と回答。コロナ禍中のひとり稽古は26%がひとり稽古をしていないと回答していた。(表7,8)ひとり稽古の内容としては、素振り、ウォーキング、ランニング、筋トレ、ストレッチであった。また、一人稽古の参考として、33%はYouTubeなどの動画を利用していた。
コロナ禍による心身の変化については、56%がコロナ禍で心身の変化があったと回答。身体の変化としては、43%が筋肉の衰え、38%が体重増加と回答。心の変化では不安があるとの回答が36%であった。不安などの解消法としては、89%が家族や友人との会話と回答。連絡手段としては、37%が電話、33%がライン、11%が電子メール、10%がオンラインミーティング、テレビ電話7%、手紙2%という結果であった。(図9)

4.傷害・ケガ(急性障害:一回の強い外力での障害)について

急性障害の種類としては、筋断裂が26%(約4人に1人)と最も多く、14%がアキレス腱断裂と捻挫(それぞれ7人に1人)、骨折が11%(約10人に1人)、靭帯損傷が7%(約15人に1人)という結果であった。
23%(およそ4人に1人)が何らかの手術を経験したと回答。手術部位はアキレス腱、足、膝、肩、腰、肘の順であった。(図10、表11)
また、ケガをした年齢でみると、アキレス腱断裂は20代、30代、40代に多く、筋断裂は40代、50代に多い傾向があった。捻挫は10代に多かった。すべての種類のケガは稽古中や試合の両方の場面でみられた。

5.慢性障害:繰り返す運動でかかる外力により生じた障害について

慢性障害すなわち痛い部位としては、腰部(14%)、膝(13%)、肩(12%)、肘(10%)、手首(6%)、首(5%)の順で訴えが多かった。また、肘については右肘が左肘の3倍多くみられたことも特徴的であった。(図12)また、膝の痛みのために、8%は蹲踞ができない、9%は正座ができないという回答が特に50-60代以降にあった。

6.現在ある病気について

現在かかえる病気として多いのは生活習慣病であり、高血圧(約22%)、糖尿病(約6%)、心疾患(約5%)、などが多かった。また、これまでに救急搬送されたのは10例であった。

7.竹刀での傷害について

軽症のものを含めると実態は把握できにくいが肘部の腫れや手首の腫れが多かった。そのほかに肋骨の骨折(約2.5%)、鼓膜損傷(約2%)、眼球損傷(約1%)、頸椎損傷(約0.6%)であった。(図13)



8.歯科的な障害について

奥歯が割れた例が約4.6%にみられた。そのほか、顔面叩打による顎関節症も1例みられた。

9.聴力について

聴力低下の訴えは全体の約26%みられ、軽度難聴(小さな声が聞き取りにくい)が81例(約25%)、中度難聴(大きな声でも聞き取りにくい)が4例(約1%)、高度難聴(耳元での大きな声も聞き取りにくい)が1例みられた。また、耳鳴りは約16%でみられた。(図14)

10.救急処置法や応急処置、アンチ・ドーピングについて

救急処置・AEDの講習会を受けたことがあるのは約80%、アンチ・ドーピングの講習会をうけたことがあるのは約69%と多かった。

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